「エンジニアのキャリアパスって何だろう?」
「このままプログラムを組み続けても大丈夫?」
「マネジメントをしないと給料上がらないの?」
エンジニアがキャリア形成を考えたときにこのような疑問を抱きますよね。
今回はこれらの疑問にエンジニア歴10年以上の私がお教えします。
目次
エンジニアのキャリアは大きく分けると3つ
エンジニアというのはプログラムを書くのが仕事だと思われがちですが、単にコードを書き続けるだけではエンジニアのキャリアを効率よく形成するのは難しいです。
なぜなら、コードを書き続けるだけでは方向性が定まらないためです。
では、しっかりと方向性を定めるためにも、どのようなキャリアがあるのかを簡単に見ていきましょう。
エンジニアのキャリア
- ジェネラリスト(何でも屋)
- スペシャリスト(専門家)
- マネジメント(管理職)
大きく分けると、エンジニアのキャリアというのはこの3つに収束します。
1つずつきちんと説明していきますね。
ジェネラリスト(何でも屋)
多くの人が目指すであろうキャリアパスがこのジェネラリストです。
スキルの幅を広げ、できるだけ広い範囲の仕事を担当できるようになることで仕事のチャンスを増やしていけるのがこのキャリアの良い点です。
また、プログラミングの中で幅を広げるだけではなく、デザイナーやディレクターのスキルを身につけることでより柔軟な動きをすることができるようにもなります。
反面、色々なことに手を出しすぎると単なる器用貧乏になってしまいがちなので注意しなければいけません。
ですから、目指すのであればそれぞれのスキルを100点満点としたときに、60点から70点できるエンジニアを目指しましょう。
ある程度のレベルで色々なことができるエンジニアは主にベンチャーなど規模が小さい企業で重宝されます。
ベンチャーというのは仕事が多く、1人で様々な役割をこなさなければならないため「何でも屋」の主戦場となります。
そういった状況で何でもできるエンジニアというのは仕事が振りやすく、評価も高くなるので給与も上がりやすくなります。
ですが、企業が成長していくうちに分野のスペシャリスト(専門家)が入ってくるようになると、その人には適わなくなってしまいます。
そういった場合は、その分野は専門家に仕事を譲りまだ専門家がいない分野に挑戦していくと良いでしょう。
あなたがやるべき仕事がなくなってしまった場合は、また小さい規模の企業へ転職するか、マネジメントへキャリアチェンジする手があります。
重宝される状況で仕事をしていけば年収を順調に上げていくことができますよ。
この手のエンジニアは創業まもないベンチャーで大活躍し、生株やストックオプションを得ることで大儲けすることもあるので、様々なチャンスを物にしたいというエンジニアには特におすすめです。
利点
様々な仕事を1人でこなせるため活躍の場が広がり継続的に評価されやすい。
欠点
幅広いスキルを身につけようとするあまり器用貧乏になりやすい。
スペシャリスト(専門家)
このキャリアでは「ある分野では誰にも負けない」といった専門家を目指すことになります。
幅よりも深さを取っているので、とにかく1つのことに打ち込まなければなりません。
このキャリアの利点は非常に稼げる分野の専門家になれた場合、引く手あまたということです。
逆に稼げない(需要がない)分野の専門家になってしまうと、時間の無駄なので下調べが重要となります。
また、専門家が多すぎる分野に取り組むというのもあまり美味しくありません。
このキャリアを進む場合は、ベンチャーのような小さい企業よりも研究開発に力を入れているような中規模以上の企業が向いています。
ベンチャーのように「何でもしなければいけない」という状況において「専門家」はなかなか活躍できません。
しかし、「特定の分野に対してとにかく詳しい人が欲しい」という特殊な需要がある研究開発においては、非常に重宝されるスキルとなります。
「○○」といえばこの人、くらいの知名度になれば様々な仕事が舞い込むでしょう。
モデルケースとして、AIといえば三宅と言われるほどになった三宅陽一郎さんがおられます。
元々はアーマードコアなどを開発していたフロムソフトウェアに所属していましたが、今ではスクウェア・エニックスの「テクノロジー推進部」でAI専門の研究を行うまでになっています。
このような立場になることで、様々な講演を行ったり著書を出したり、専門家として意見を求められたりといった権威となれます。
専門性を高め続けるよりは、専門性を利用して様々な活動していくことで給与を上げていけるのが特徴です。
利点
需要のある専門分野をつきつめることで第一人者として認められる。
欠点
競争の激しい分野や衰退しつつある分野では勝つことが難しい。
マネジメント(管理職)
こちらは自分でコードを書くことよりもエンジニアを活かすことを考えるキャリアパスです。
つきつめていくとEngineering Managerや、VP of Engineeringと呼ばれる役職になり、会社組織上でも上長や経営層になることが多いです。
このキャリアに進む場合は、プログラミングを頑張るのではなく、エンジニアが何をどう考えどのように仕事をしているのかを把握できるようにコミュニケーションを勉強する必要があります。
また、採用、育成、評価といったようなコードを書くのとは違ったスキルを求められるようになるため、勉強すべきことが変わってきます。
会社や状況によってもやらなければいけないことが変わるため、柔軟な思考が求められるのがこのキャリアの特徴ですね。
将来的にはCTOとして経営層にジョインすることもあり、つきつめられれば最も高い給与を得られるようになります。
しかしながら、時にはスキルが高くても扱いにくいエンジニアの面倒を見なければならないとか、失敗の尻拭いをしなければならないということにもなり、精神的に疲れるキャリアでもあります。
エンジニアは開発をしていたいという気持ちが強く、意外とマネジメントに進みたがる人がいないため、人を管理するのが苦ではないなら目指して損はないキャリアとなっています。
利点
エンジニアとして最高峰の地位につくこともあり、社会的に認められやすい。
欠点
プログラミングとは異なるスキルを要求されるのと、精神的に疲れることも多い。
エンジニアのキャリアパスは考えておくべき
エンジニアのキャリアパスについて考えるとき「あまり先のことは考えなくてもいいよ」というような主張をしている人もいたりしますが、ぼんやりしていると何をしたら良いかわからなくなることが多いです。
私が面接官をしていると45歳くらいの候補者「やりたいことが見つかったので転職します」などと言われることがあるのですが、ハッキリ言ってそれでは遅すぎます。
先のことはわからないからといってキャリアを考えないでいることは人生を損することに他なりません。
できれば、今のうちにあなたがどうすべきなのかを考えておき、どういったスキルを学べば望んだキャリアに到達出来るかを設計しておきましょう。
「好き」なことをやらないほうが良い
私はキャリアに悩む人に対して、できるだけ「好き」ではなく「得意なこと」を選んだほうが良いよと伝えています。
なぜかというと、「好き」だけど「得意ではない」ということはたくさんあるのに対し、「得意なこと」は「やるのが楽」なのは絶対だからです。
「好き」という感情は非常に難しく、いきなり嫌いになるかもしれませんし、好きな分野が社会的にまったく需要がないということも良くあります。
ですが、「得意なこと」は少ない労力でやることができますし、評価を得やすいです。
「得意なこと」というのはあなたが「楽にやれること」なので、それを仕事にする限り、あなたは負けません。
「好きなこと」でないとモチベーションが続かないと言われることもありますが、仕事をモチベーションでやってはいけないのです。
むしろ、あなたのモチベーションが最低でも「得意なこと」というのはある程度のレベルで出来ます。
悲しくても落ち込んでいても「得意なこと」は下手にならないからです。
だから、あなたがきちんとしたキャリアを形成したいのであれば得意なことを仕事にしてください。
もしあなたが「好きなこと」を仕事にしてしまった場合、モチベーションが低い状態で成果をあげることが難しくなりますし、評価もされにくくなってしまいます。
定期的にあなたの市場価値を確かめよう
キャリアを1人だけで考えていると市場価値について盲目になりがちです。
市場価値というのはあなたが決めるものではなく、周囲が決めるものなので定期的に確認しなければなりません。
たとえば、SNSでの発信などをすることで知名度を上げることができますし、勉強会で登壇したり、オープンソースに関わったりすることも1つの手です。
そして、そういったアウトプットを続けたあと、転職の意思がなくても転職エージェントなどを利用して定期的に面接を受けてみることをおすすめします。

また、ビズリーチやLinkedInのようなダイレクトリクルーティング(ヘッドハント)型の求職サイトに登録してスカウトを待ってみるのも手です。
定期的にあなたの価値を確認することで、あなたのキャリアパスが間違った方向に進んでいないかを確かめることができますし、これらのサービスは基本的に無料なのでお金がかかることもありません。
私も観測のために登録をしていますが、Googleなどからスカウトがあり市場価値の参考にしています。
あなたの市場価値が正しく認識できれば、それを元にステップアップしていくだけですからキャリア形成は簡単ですよ。
最後に
今回はエンジニアのキャリアパスについて解説してきました。
実際にはそこまで深く考えなくてもエンジニアというのは食べていくことはできます。
基本的に仕事がなくなることはないからです。
しかし、将来的にリタイアして人生を豊かに過ごしたいのであれば早期にキャリアを形成して人生を楽にするのがおすすめですよ。