「飛躍的に成長できる状況」か「単に無駄死にする状況」かの見極め方

あなたはドラゴンボールのサイヤ人をご存じでしょうか?

戦闘民族である彼らは「死の淵から蘇る度に飛躍的にパワーアップする」という特性を持っています。

しかし、残念なことに作中に登場したすべてのサイヤ人が死の淵から復活しパワーアップできた訳ではなく、無駄死にしてしまったケースもあります。

人間も同じで「今が、戦うべきときなのか、逃げるべきときなのか」を正確に見極められないと、単に無駄死にして人生が終わってしまうことがあります。

ですが、「戦うべきとき」を見極められればサイヤ人のように恐ろしい速度で成長できます。

今回はこのような「あなたが飛躍的に成長できる状況」なのか、それとも「どう頑張っても無駄死にする状況」なのかを正確に見極められるようになる方法をお教えします。

すべてのピンチから逃げていると成長できない

こういう話をすると、ピンチだと思ったら逃げた方が良いという人もいますが、一概にそうだとは言い切れません。

なぜなら、あなたを飛躍的に成長させるチャンスでかつ状況も揃っているのにも関わらず、それが単なるピンチだと思い込んで逃げ出してしまうと、あとちょっと手を伸ばせば容易につかみ取れた「成功の未来」を、みすみす捨てることになります。

逆に、いますぐ逃げ出さないと即死しかねないほどに最悪の状況であるのにも関わらず、その場にとどまって無理に無理を重ねて討ち死にすると、精神や身体を病んで一生を棒に振る羽目になります。

ですから、「見極め」が何より大切なのです。

その状況が、チャンスなのかピンチなのかを決定づける要素として重要なのが、以下の3つの要素です。

見極めに必要な要素

  • 権限
  • 責務
  • 状況

「権限」と「責務」、そして「状況」というのはいったいどういうことなのかを見ていきましょう。

たとえば、「このプロジェクトは来月リリースなのにも関わらずリリースできそうにない。何とかリリースして黒字化してくれ」と社長に言われたとします。

これは「責務」すなわち、あなたがやらなければならないことに相当します。

この責務を引き受けるべきかどうかは、その責任を全うするために必要な「権限」と「状況」があるかどうかで決まります。

ここで「リリースの目処が立っていないプロジェクトをリリースまで持っていく」ために必要そうな予算、人員、裁量権が与えられていたとしても、「外的要因でリリースしようがない状況」や「プロジェクトの内容が絶望的でリリースしても黒字化が見えない状況」だとしたら引き受けてはいけません。

これは「権限」があっても「状況」が揃っていないと言えます。

逆に、現状課題が山積みだとしても状況を変えられるだけの権限を与えられその権限で課題が片付けられるなら、これはあなたを成長させるチャンスとなります。

上記の条件なら「内的要因のみでリリースが難しくなっており、それを解決できるだけの権限はもらえる」状況で「見た限りプロジェクトの内容は最高によく、もしリリースできたらなら世界を変えられるかもしれない」というのであれば引き受けるべきです。

要するに「権限が与えられない」もしくは、「与えられた権限で解決できない課題がある状況」では、その責務を引き受けてはいけない、ということになります。

無理難題を押しつけられたのにも関わらず、そのことに気がつかず必死で努力しても無理なものは無理です。

ですから、その状況で責務を引き受けてしまうと、プロジェクトは必然的に失敗する上に、その失敗の責任まで負わされ、本来はあなたのせいではない失敗なのにも関わらず無能な人間として扱われてしまうことになります。

これは、あなたが始めたプロジェクトでなかったとしてもです。

無理なものは無理だというのが上司には伝わらないからです。

上司はあなたにそのプロジェクトが適切かは判断してくれない

本来であれば上司というのは「責務」と「権限」、「状況」のバランスを考えて、あなたに仕事を割り振るべきですが、そんな上司がいるのであればそもそもプロジェクトは事故ってません。

ろくな権限も与えないまま責務だけ押しつけてくるような上司もいれば、状況がまるでわかっておらず「とりあえず何とかしてくれ」というだけでアサインをしてくる上司もいます。

しかも、そういう上司に限って、自分が部下に与えた責務と権限のバランスが間違っていたり、どうにもならない状況だったことを認めようとせず、失敗を部下のせいにしようとしてきます。

このような被害にあわないためにも、責務を引き受けるときには必ず下調べをし、課題を解決するための権限が与えられることを確認してください。

もちろん、その責務を引き受けるかどうかの段階では、まだ与えられる権限の詳細が決まっていないことも多いです。

そういうときは引き受けた後から「これだけの時間、予算、人員がなければこのプロジェクトは達成不可能です」と言っても無駄なので、あまりにも詳細が見えないときには引き受けないようにしましょう。

「○○でないとできません」という交渉をすれば、「いや、引き受けたのなら何とかしてくれ」と言われますし、建設的な意見を持ってこいと言われるのがオチです。

かといって「○○であれば出来ます」という建設的な持って行き方をしても「○○するのは今は難しいな」といったようにその条件が達成されないことが多々あり、にっちもさっちもいかないことがよく起きるからです。

しかし、事前にどのように交渉したとしても「いいからやってくれ」と無理な戦いを押しつけられることもあります。

その場合、それは「全速力で逃げるべき時」なので、最速で転職の準備を始めましょう。

私が出会った「逃げるべき状況」の実例

例えば、私が出会った「逃げるべき状況」の実例を少しだけお話しましょう。

私が入社したばかりのタイミングで、あるプロジェクトを見てくれと言われ、最初は定例に参加することから始まりました。

内容を確認してみると、そのプロジェクトは会社がA社から受けた案件をB社に再委託しているプロジェクトで、実際の開発は自社内にはなく、B社の人員で構成されていました。

自社が担当しているのはプロデュースとディレクションのみ。

定例に出てみるとプロデューサーは順調です、という話をしており、多少遅れているがリリースは問題無くできるとのこと。

B社も増員と増額さえしてくれればプロジェクトは終わると言う主張でした。

しかし、現場を見る限りバグだらけで手戻りが何回も発生し、きな臭い匂いがしました。

怪訝に思った私はそのプロジェクトの内部を調べてみると、なんと、現在の中身の設計が当初必要だった要件をまったく満たしていないことが判明したのです。

わかりやすく言うと、このサービスは当初毎月あるボリュームのアップデートをする必要がありました。

しかし、中身をよく見てみると毎月のアップデートのことなど何も考えられていない構造だったのです。

どうやら開発を委託していたB社の中で大量離職が発生しており、B社の現場は何度も入れ替えが発生したため、当初の要件などどこかへ行ってしまっていたようです。

しかも、このプロジェクト、最初は半年で完成するという主張をしていたのにも関わらず、すでに1年が経過していました。

この時点で「見た目は動いているもののハリボテ」であり、この方向に進んでいても絶対に終わらないことがわかりました。

リリースできたとしても当初の要件である「毎月アップデートする」が満たせないのでは失敗は目に見えています。

旅行に例えるなら、東京から北海道に向かわなければならないのにも関わらず、気がつけば沖縄にいた、くらいの大事件です。

ハッキリ言ってこの案件は気がついた時点でどうしようもない状況でした。

予算や人員がついたところで、1年間まったく違うことをしてきたのですから間に合う筈がありません。

しかもたちが悪いのが、ハリボテでも動いているものがある、という状況でした。

このせいで未来のない希望にすがり、プロジェクトは延命しながらも絶対にゴールできない方向に進み続けていたわけです。

ここで私が行うべき最適な答えとしては「プロジェクトを終わらせること」でした。

様々な調査結果を経営陣に提示し「このプロジェクトは絶対に終わらない。続けるべきではない」と力説し、どうにか終わらせることができましたが、万が一引き受けていたとしたら大惨事になっていたことでしょう。

このように方向性が間違っていたプロジェクトは引き受けると絶対に酷い目にあいます。

あなたの能力がどれほど優れていたとしても、どれほどの権限が与えられたとしても、終わらせることが物理的に不可能なプロジェクトというのは存在しているからです。

最後に

ここでは特に重要なファクターとして「権限」と「責務」と「状況」に注目しましたが、実際に見誤りやすいのが「状況」のファクターです。

可否はそれを引き受けるあなたの見識眼に比例してしまうため、現在のあなたの能力に見合わない状況であれば引き受けるべきではありません。

あなたよりも能力が高い人にとってチャンスであっても、見合わない能力をもたないあなたにとってはピンチでしかないということもよくあるからです。

さらに言うと、現在のあなたの能力よりもちょっとだけ高い難易度の「状況」で妥当な「責務」を引き受けると、一気に成長することができます。

この見極めは難しいですが、不確定要素(あなたの理解が及ばない領域)が1割を超えたら引き際と心得ましょう。